■「専門家の失敗」:デジタル化のトレンド変化の事例

      

1 LINEを使う組織

少し前から、社内での連絡にLINEを使い組織が増えてきました。セキュリティの関係から、使用禁止にしている組織もあるでしょう。しかし使っている組織の人たちは、もし万一これが外に漏れても、何も困りません、大丈夫ですよと言っていました。

こうした発想の人たちに対して、違和感を持つ人がたくさんいるのも分かります。同時に、流れがどちらに向かっているかも、ある程度見えているはずです。こうしたトレンドは、メールからLINEという流れだけではないことも、お気づきでしょう。

Officeが使われなくなってきました。普通の組織では、まずありえないことでしょうが、昨年から、あきらかに一部の組織でOffice離れが起きています。Excelではなく、スプレットシートを使いだしているのです。まだ併用といったところでしょうか。

      

2 専門家の「失敗」

最近おもしろいことを経験しました。専門家がスプレットシート用に、きちんとした文書を作ってくれたのですが、これが使えませんでした。専門家からすれば、いちばんいいモノをつくるのがあたりまえのことだったのかもしれません。しかし失敗でした。

スプレッドシートの機能は、まだ明らかにExcelと較べると落ちます。従って、Excelの最新版で作成して、それをスプレッドシートで読み込めば、質のいいものが作れて、スプレッドシートでも使えるはずでした。ところがもはや、それさえも不可能になっています。

小さな会社の新しいパソコンにはOfficeが搭載されていません。もはやグーグルの提供するオフィス用のGoogle Workspaceに切り替えていくようにという発想があったようです。結局、最新のExcelが開けなくて、スプレッドシートで読み込みができませんでした。

この会社では、スプレッドシートで作成するようにという前提があったようです。ExcelなどのOfficeなしのパソコンが前提になっていました。現在使える機能を前提にして、作成するようにという考えです。今後、使える機能が拡大していくのはもう見えています。

     

3 批判される「専門家」

OSの市場では、ウィンドウズとMacのOSが並立し、スマートフォンでもiフォンとアンドロイドのプラットフォームが共存しているのはご存知の通りです。選択肢がありますから、各自の使い方ができます。バランスをどう取るかということになるでしょう。

もう一つのことを思い出します。かつての「マル秘」扱い文書のことです。べつに秘密にするほどでもないものでも、慣習に従っているのか、慎重すぎる態度で「マル秘」扱いになっていました。あとになってみれば、ばかげていると感じることです。

セキュリティや機能の問題は、だんだん気にならなくなっていくはずです。そうなるとコストが問題になります。さらにメールよりもLINEが楽だと感じ、共有できるからスプレッドシートが便利だと感じる人が増えてくれば、方向は見えてくるでしょう。

20代の若者たち何人かに確認してみました。もはや例外なしにLINEの方が便利、共有できるスプレッドシートがいいと言います。機能は十分だということでした。「専門家の失敗」に対して、全員が批判的だった事実を知っておいても損ではないでしょう。

      

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